いま話題の『1万人の脳を見た名医が教えるすごい左利き』(ダイヤモンド社)。
著者の脳内科医・加藤俊徳氏によると、左利きと右利きでは「脳の仕組み」が違うといいます。それはいったい、どんな違いなのか……。10人に1人といわれる「左利きの疑問」を解き明かすため、加藤氏にお話を伺いました。(構成・塩尻朋子)
左利きは「応用力」に自信を持っていい
──物事がうまく運ばないと、考えても考えても煮詰まってしまうことがよくあります。左利きは応用力があり、そんなどうにもならない状況に強いと聞いたのですが、本当でしょうか。
加藤俊徳先生(以下、加藤):そうですね。確かに左利きは応用力がありますから、どんなに先が見えない状況でも、あきらめずになんとかしてしまうことが多いでしょう。
そもそも左利きは、右利きが9割の社会で暮らしています。家族のなかでも左利きは自分だけだったり、学校でもクラスの中にほかにいなかったりして、まわりに「お手本」となる左利きがいないことが多いでしょう。
そのため、あらゆる動作を右利きを参考にして行わなければならない。
でも、右利きの動作をそのまま反転させればうまくいくわけではありません。たとえば、道具も右利き仕様であることが多いので、うまく使えなかったりして行き詰まってしまい、自分なりの工夫が必要になる。
そうして左利きは日々、「右利きマニュアルを応用している」ことになり、応用力の基礎が養われています。
──なるほど。右利きだったら、お箸を持ったり、メモを取ったりするときに、いちいちどうやるのか、考えたりしませんよね。左利きは日常的な動作、一つ一つから、応用力を養っているのですね。
加藤:でも、そのことに気づいている左利きは、そう多くありません。
「自分は常に工夫をしているから、応用力がある」と自覚すると、ものすごい才能を発揮するのが左利きなのに、もったいないことだと私は思っています。
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