伊那市有線放送農協(いなあいネット)が省電力無線通信技術LoRaWAN(ローラワン)の多角的利用で実用化した「わなセンサー」が、地すべりの検知にも活用できるのではないか―と、関係者らが注目している。構造が簡単なため応用しやすく、可能性が広がっているという。いなあいネットの菊田文太郎事務局長は「防災は特に力を入れていくべき分野で、地すべり検知ができれば効果は大きい」と期待する。
実験は8月中旬、大雨で地割れが見つかった同市長谷地区で行われた。市長谷総合支所農林建設課農林係長の小林竜太さんが、自身が猟友会員として有害鳥獣駆除に使っている「わなセンサー」が地すべり検知に応用できるのではないかと考え取り組んだ。
「わなセンサー」は、くくりわなに鹿がかかると、わなに結わえた釣り糸に力が加わり、磁石で固定している金具が外れる仕組み。それを検知したセンサーが即座に設置者の携帯端末に知らせる。
小林さんはこの仕組みを利用し、地すべりの兆候が疑われる地割れを挟んで片方にセンサーを設置。もう片方にコンクリートブロックを置いて、センサーの金具とブロックとを釣り糸で結んだ。定期的な巡視を続けながら、地面の状態が変わったら瞬時に通報されるようにし、1週間、監視を続けた。
幸い地すべりは発生しなかったが、実験を続ける中で問題点も見つかった。通報が入り、現場に駆け付けると地面に異常はなく、周辺にサルが出没した痕跡があったという。「実用化するには動物対策を考えないといけない」と小林さん。地すべりの発生は山中が多いため、ローラワンのエリア拡大も大事になるとみる。
わなセンサーはローラワンを利用して地域課題を解決するアプリ(応用ソフト)を短期間に開発するイベント「伊那ハッカソン」で生まれたアイデアで、現在約150台が使われている。いなあいネットではローラワンの多角的利用に力を入れており、わなセンサーの利用拡大に加え、温度の可視化の実証実験に取り組み、農業や福祉分野への応用も研究している。
からの記事と詳細 ( 「わなセンサー」を応用 地すべり検知に期待 – Nagano Nippo Web - 長野日報 )
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