高崎量子応用研究所(高崎市)などの研究グループは、生きているメダカや線虫など生物の細胞に一マイクロメートル(千分の一ミリメートル)単位の細さの「マイクロビーム」をピンポイントで照射する技術を開発したと発表した。神経機能に影響を及ぼさず刺激することが可能で、脳神経の発生や運動機能解明に役立つという。 (池田知之)
同研究所は国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(量研、本部千葉市)の一部門。マイクロビームとは、高エネルギーに加速したイオンをマイクロメートル単位まで細くしたもの。研究所にある照射装置ではビームの径を変えられるように改良した。
メダカの脳神経系の発生についての東京大との共同研究では、ビームの太さを変えて胚の細胞(直径五百マイクロメートル)の中央へ照射、微細な傷を付けた。この結果、胚の細胞の約10%に当たる照射では成長は遅れたものの、卵からふ化。一方で、25%を照射した場合はかえらなかった。損傷を受けた割合により、生物に異常が発生する仕組みなどの解明に役立つという。
常に動き回っている体長一ミリの線虫を用いて体を動かすメカニズムを解析する広島大との共同研究でもビームを使って実験。線虫の中枢神経がある頭部に直径二十マイクロメートルで照射した際にも、体は動き続けていることを確認でき、頭部以外にも体を動かす仕組みがあるのが分かった。研究論文は、スイスの学術誌「バイオロジー」に五日、掲載された。
同研究所の舟山知夫上席研究員は「既存の技術では実現できなかった未知の生命現象の解明につながる」と話している。
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