活発化するNFTの応用
EARC721に代表されるNFT(ノンファンジブル・トークン)はゲームの領域で頻繁に利用されます。EARC721では、ERC20などと異なり、トークンにユニークな値を与えられることにより、ゲームアイテムやゲームキャラクタをトークン化する際に相性が良い実装です。このようなゲームアイテムのNFT化の事例が日本でも多く出ている背景として、規制の明確化があります。
日本国内においてこのようなゲームアイテムのトークン化が、仮想通貨取引として扱われ規制されないかという点については、金融庁から「決済手段等の経済的機能を有していないNFTは、第二号仮想通貨に該当しない・あたらない」という見解が示されています。
つまるところ、ゲームアイテムなどのNFTは物品として扱われているので、規制されていないということが2019年12月時点での状況です。ただし、NFTが物品であっても、ソーシャルゲームでの「コンプリートガチャ」と同じような手法でそれらを販売するような事例が今後生まれると、懸賞景品制限告示で規制されるなど別の議論が生まれる可能性もりあります。
そのような可能性があるもののNFTは比較的、ビジネスを立ち上げやすい状況にあると言えます。そして最近では、この影響を受けてゲーム以外の分野でもNFTを他のシーンに適用する事例が増えてきました。
ゲーム以外に立ち上がるNFTビジネスとは?
NFTをゲーム以外に応用した事例としては、国内企業ToyCash(トイキャッシュ))におけるオンライン集会所「Ryodan」は良い事例でしょう。
出典:Ryodan
同サービスは、NFTを会員権として定義して、コミュニティに参加する権利をブロックチェーン上でトークン化、権利の移転ができるように設計しています。同社によると、オンライン集会所Ryodanは簡単に例えるならば、ワーキングスペースアプリ「Slack」と暗号資産取引所「Binance」を足して2で割ったものであるとしています。
同プラットフォーム上のコミュニティの一部トークンは既にブロックチェーン上のDEX(分散型取引所)で売買されています。このようなブロックチェーン上のトークンを会員権として利用する事例としてはフォーブスも取り組みを行っています。
関連記事:Forbesがブロックチェーンを利用した会員システムを採用、その仕組みは?
サプライチェーンファイナンスにNFTを利用も
他にはNFTをサプライチェーンファイナンに利用する事例もあります。ドイツのスタートアップ、Centrifuge(セントゥリフュージ)では売掛債権をNFTとして流通することを行っています。請求書を第三者に販売するファクタリングという金融取引です。イーサリアム(Ethereum)上で売掛債権をトークン化することで広く流通し、グローバルで取引できるようになることが利点です。
このようにNFTの応用事例はゲーム以外の領域でもさまざまなものが生まれています。前述したようにNFT分野は日本国内でもある程度規制が明確になっていることから、ビジネス立ち上げのチャンスがある分野であり、今後もさまざまな事例が登場することが期待されます。
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