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Tuesday, December 5, 2023

自家発電9割の新工場に太陽光パネル2種類を混載、中古品に応用可能 - ITpro

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(出所:日経クロステック)

(出所:日経クロステック)

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 ニプロン(兵庫県尼崎市)は消費電力の9割を太陽光パネルによる自家発電で賄う新工場「三重スマート夢工場」(三重県多気町)で、2023年10月に発電システムを本稼働させた(図1)。2種類の太陽光パネルを混在させて使っているのが特徴で、同社が事業として手掛ける太陽光発電システムのショールームを兼ねる。安価な中古太陽光パネルの供給が今後増えるのを見越し、1種類で枚数がそろわない場合のシステム構築法を実地で示している。

図1 ニプロン三重スマート夢工場

図1 ニプロン三重スマート夢工場

2023年9月から稼働。同10月下旬に太陽光発電システムを本格稼働させた。(写真:日経クロステック)

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 同工場の生産品目は、電子機器などに組み込む基板形の電源ユニット。これまで同社は松阪夢工場(三重県明和町)で生産していたが、災害対策などの観点で多気町への移転を決め、その際に新工場の電力ほぼ全部を自家発電でカバーする方針とした。合計の発電容量485.75kWの太陽光パネルを工場とカーポートの屋根に設置し、「天気がよければ100%の電力(夜間の使用分を含む)を発電できる規模」(同社)のシステムを構築した。

工場とカーポートにそれぞれ2種のパネルを設置

 太陽光パネルはカナダCanadian Solar(カナディアンソーラー)製(容量545W)と、リープトンエナジー(神戸市)製(同305W)を利用。工場屋上とカーポートの屋根上ともに2種類を混在させて設置した(図2)。

図2 太陽光パネル

図2 太陽光パネル

写真中央上が工場、中央下がカーポート。ともに2種類の太陽光パネルを設置している。工場屋上は手前の角付近、カーポート屋根は手前の端付近にあるパネルがやや小型で、色が少し薄い。(写真:ニプロン)

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 通常の太陽光発電システムではパネルを1種類しか使わないが、同社は今後複数種類のパネルを混在させる必要性が増すとみている。その理由の1つが中古パネルの供給量増加だ。被災した発電所や、固定価格買い取り制度(FIT)の適用期間を終えた発電所から撤去された太陽光パネルが中古品として出回り始めている。しかし中古品は、導入したい枚数が1種類でそろうとは限らない。

 複数種類の太陽光パネルを単純に混在させると、発電効率が落ちやすくなる問題が生じる。太陽光発電システムでは、太陽光パネル複数枚を直列につないで電圧を上げ、この直列の固まり(ストリング)をさらに並列につないで電力を増やす。太陽光パネルが1種類ならストリングごとの個体差も少なく、一括して制御すればよいため単純に接続しても効率はあまり下がらない。しかし太陽光パネルが複数種類だったり、劣化度合いがそれぞれ異なったりしていると、ストリングそれぞれの電圧が一定にならない。低い電圧のストリングに他のストリングが足を引っ張られる形で発電効率が低下する。

 パネル1種類で構成する場合でも、一部の太陽光パネルが破損したり、あるいは一部パネルが日陰に入ったりすると同じ現象が起こる。同社はそのような場合にも発電効率を維持できるように、ストリングを1つずつ制御する機器「PVマキシマイザー」を開発、生産していた。PVマキシマイザーはストリングの状況に応じて、最大電力を取り出せるようバイアスを調整するMPPT(Maximum Power Point Tracking、最大電力点追従)制御の機能を持つ。

 この機器を使って、新工場のシステムは新品ではあっても2種類の太陽光パネルを導入し、ストリングの構成枚数は完全には統一せず8枚または9枚とした。ストリング内にはパネルを混在させていない。これらのストリングからの電力を集電箱で集約し、パワーコンディショナーに送って交流に変換するほか、余剰分の電力を蓄電設備に送る。

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