タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)は7月3日、製紙工程から純度が高いリグニンを回収し、紫外線吸収能や抗酸化作用などの特性を持つ幅広い産業用途の機能性添加剤として利用できる方法を開発したことを発表した。タイ国立遺伝子生命工学研究センター(BIOTEC-NSTDA)とタイ・ルーンルアン・インダストリー(Thai Roong Ruang Industry)社による共同研究。
リグニンは植物材料にみられる複合ポリマーだ。製紙業界において、このリグニンは紙の品質を低下させるため不要で除去され、製紙工場を運営するための電力源として燃焼されている。しかし、リグニンの化学成分と構造は高価値の化学製品に利用できる可能性があった。
BIOTEC-NSTDAとタイ・ルーンルアン・インダストリー社は共同でリグニンの価値化に関する共同研究を行い、製紙工程をより環境に優しいものにするオルガノソルブ・プロセスを開発した。このプロセスはバイオマスからリグニンを抽出するために有機溶剤を使用する前処理プロセスで高純度のリグニンを回収することが可能だ。
(出典:いずれもNSTDA)
回収されたリグニンには紫外線吸収能や抗酸化作用などの特性を持ち、機能性添加剤として応用が可能だ。その先として研究チームが最初に焦点を当てたのはプラスチック産業だ。研究チームはポリエチレン、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどタイで広く使用されている数種類のプラスチックに機能特性を付加するためにリグニンを使用することを研究している。リグニンの紫外線吸収能を生かし、屋外のプラスチック家具や、生鮮食品の保存期間を延ばすプラスチック食品包装へのUVカット機能の付加などが考えられている。バイオリファイナリー・バイオプロダクト技術研究グループのチャヤノン・チョティロツコン(Chayanon Chotirotsukon)博士は「私たちの最新の成果は、3Dプリンティングで使用されるPLAフィラメントに機能性添加剤としてリグニンを使用したことです」と語った。
リグニンの産業利用は炭素排出量削減により、タイのBCG(バイオ・循環型・グリーン)経済モデルにもつながる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
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