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Tuesday, July 11, 2023

まず始めないと…。応用行動学の専門家が「すぐやる人」を分析 - ニュースクランチ

自分で決めたことなのに、なかなか行動できない……。誰もが抱える悩みですね。大きな原因は“始められない”から。仕事や勉強にすぐとりかかるためには、“行動を完結させなくていい”という気楽さを持つことも大切。「すぐやる人」とは、いわば打率が低くても安打の数が多いバッターと同じだそうです。最新の行動科学でわかっている「行動を始発する」ための秘策を、応用行動分析学の専門家である竹内康二氏が教えてくれました。

※本記事は、竹内康二著『めんどくさがりの自分を予定通りに動かす科学的方法』(ワニブックス)より一部を抜粋編集したものです。

何回も始発できればより多く進める

作業を始めることができれば、それなりに行動できるけど、始めること自体が難しいという人はきっとたくさんいるでしょう。

これは、行動の始発に関する問題です。

「作業を始めることはできるけど、集中が続かずにすぐにやめてしまう」という問題を持つ人もいますが、行動の始発で悩んでいる人のほうが圧倒的に多いのです。

作業が始発できなければ、何も進捗しないわけです。

  • 重要な仕事があるのに始められない
  • 期限が迫っている試験があるのに勉強に取りかかれない
  • ジョギングをすると決めたのに、いざやろうとするとできない
  • 美しい体をつくりたいのに、筋トレが習慣化しない

などなど……。

始発できるけど途中でやめてしまうことよりも、始発できない問題のほうが悩みが深いのは明らかです。

集中時間が短いとしても、何度も繰り返し始発できれば作業は進みます。

「集中できない問題」の解決も、始発の頻度を増やすことで解決が可能です。

▲何回も始発できればより多く進める イメージ: PRISM / PIXTA

応用行動分析学には、行動連鎖という概念があります。日常における行動というのは、小さな行動がドミノ倒しのように連続的に生じることで成立している、という考え方です。

たとえば、「アメをなめる」行動を考えてみましょう。

「たくさんのアメが入っている袋を開ける」→「袋からアメをひとつ取り出す」→「アメを個別に包んでいる包装を開ける」→「アメを取り出す」→「アメを口に入れる」→ 「舌を使ってアメを口のなかで転がす」

という一連の行動が滞りなく連鎖することによって、ようやくアメの味を楽しむことができます。

私たちが日常のなかでする行動の多くが、行動連鎖によって成り立ちます。行動連鎖は、最初の行動が始まらなければ、そのあとの行動が生じないことになります。

逆に言えば、最初の行動さえ起こせれば、そのあとの行動連鎖は流れのままに生じてくれます。

まずはパソコンを立ち上げるだけでもOK

大切なことなので何度も繰り返しますが、肝心なのは、行動の始発です。

行動の始発に問題があるなら、その行動を細分化して、行動連鎖の“最初の行動”を標的とするのが一番の手です。

たとえば、パソコンを使った作業の場合は、パソコンを立ち上げることが最初の行動、つまり「標的行動」です。ノートパソコンを使うのであれば、ノートパソコンをカバンから取り出して開くことが標的行動になります。

つまり、いつも先延ばししている作業がある場合、その作業をやるかどうかはともかく、パソコンを立ち上げることを標的にして、「立ち上げることができれば良しとして問題ない!」と私は言いたいのです。

パソコンを立ち上げても、作業しないなら意味がないと思われるかもしれません。

しかし、パソコンを立ち上げたうちの3回に1回でも作業に取り掛かれたなら、それだけで十分な成果です。

▲まずはパソコンを立ち上げるだけでもOK イメージ:Mills / PIXTA

3回のうち2回は作業をしないわけですが、野球では打率3割のバッターはとても優秀とされます。先延ばしの多い人なら、4回に1回の割合で作業できたらすごいことです。

打率が低くても、打席に立つ回数を増やせば安打の数は増えます。パソコンを開く回数を上げれば、作業に取り組む時間も長くなります。単純な話です。

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