腸内環境を整え、コレステロール低下や免疫機能を高める効果などの働きがあるとされる乳酸菌で、小山工業高等専門学校の高屋朋彰(こうやともあき)准教授(43)らの研究グループが1日までに、新属新種の発見と培養に成功した。一般的な乳酸菌と異なり寒天培地でほとんど生育せず、これまでは発見が困難だった。高屋准教授は「今後、食品産業などへの応用が期待できる」としている。
酵素原液の製造販売などをするミヤトウ野草研究所(新潟県妙高市)から打診を受け、6年ほど前に共同研究に着手。高屋准教授と同校OB3人、同社の研究員2人の計6人の共同グループで、新種の乳酸菌が含まれている可能性が高いとみられる同社所有の発酵野菜エキスの培養などに取り組んできた。
発見した菌は栄養源としてブドウ糖を与えても、寒天培地に移してもほとんど生育せず、中性の環境下では増殖しないなどの特徴を持つ。培地として水溶性の多糖類を使ったり、酸性の環境下に置いたりするなどの試行錯誤を繰り返し、ようやく菌の発見と培養方法の確立に成功した。
遺伝子配列やゲノム(全遺伝情報)を解析したところ、種より上位の属レベルで未発見の乳酸菌であることが判明。研究グループはこの菌を「フィロドゥルチ(甘いものを好む)ラクトバチルス(乳酸菌) ミョウコウエンシス(妙高由来の)」と命名した。
菌の培養方法などについて日本国内の特許を取得し、中国や韓国などアジアの7カ国・地域でも特許を出願した。菌の性質などを引き続き研究する予定で、高屋准教授は「身近な食品にも見逃している菌がまだまだあることに気付かされた。今後も新しい菌を発見していきたい」と話す。
研究成果は米国の国際科学誌「PLOS ONE」のオンライン版でも紹介された。
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