NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2023年3月27日、日本ブロックチェーン基盤が管理・運営する「Japan Open Chain」に共同運営者として参画すると発表した。同日、TISも自社内にWeb3専門組織を立ち上げることを発表した。
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2027年までに大企業の4割がWeb3などを利用、日本でも本格化する産業利用
Web3の技術は暗号通貨やNFT(非代替性トークン)などの投機的なイメージが先行するが、デジタル空間において実世界と同等の価値交換を実現したり、一意のものを追跡したりといった場面での利用が期待されている。暗号通貨やNFTもその運営主体の信頼性などは別として、現実世界における価値交換をデジタル空間で再現する仕組みと捉えられる。
Gartnerは2023年のテクノロジートレンドを発表する中で、Web3に関しては「2027年までに世界の大企業の40%以上が、収益増加を目的としたメタバースベースのプロジェクトで、Web3やAR(拡張現実)クラウド、デジタルツインを組み合わせて使用する」と予測している。また、岸田内閣は2022年10月の所信表明演説でWeb3サービスの拡大を挙げており、今後、具体的な産業応用やビジネス開発が進むと目されている。
Japan Open Chainは、分散型アプリケーションやスマートコントラクトを構築するためのブロックチェーン基盤「Ethereum」との完全な互換性を備える。NTT Comでは、Japan Open Chainについて「高速で十分な分散性と高いセキュリティ性能や安定性がある」と評価している。同社は同基盤の運営に共同運営者として参画し、他の共同運営者とともに日本企業が安心して利用可能なブロックチェーン基盤を提供する。自らも社会課題解決につながるWeb3サービスの展開を推進する。
ブロックチェーン基盤の管理・運営については、ブロックチェーンに記録される取引データなどの妥当性を検証し、セキュリティや性能、安定性の向上に関する技術を検討する。社会課題解決に向けたWeb3サービスについては、同サービスの社会実装に向けて検討し、仲介者を必要としない価値の共創や交換を可能とするサービスを提供する。
ブロックチェーンにはさまざまな実装基盤が存在するが、運営主体や運営方針が日本の法に準拠しているかといった点が不明瞭であることや、サービス提供に必要な処理にかかる手数料が高騰していることなど、ビジネスで利用する上で法的、技術的な課題がある。このため、エンタープライズ用途においては既存のブロックチェーン基盤を使ったビジネス展開が難しく、安心して利用できるブロックチェーン基盤上でのWeb3サービスが求められていた。
同日TISも自社内に「Web3関連ビジネス企画部」を組織することを発表した。組織は2023年4月1日から稼働する。TISはもともと米国R3との資本業務提携を基に日本企業向けのアプリケーション開発を手掛けていた。旭化成における偽造防止基盤「Alkiteia」の構築や、豊田通商の船舶向け燃料受発注管理サービス「BunkerNote」などの実績を持つ。
新組織は各種ブロックチェーン基盤技術を扱うエンジニアやプライバシー保護の専門エンジニア、ビジネス開発のスペシャリストなどを集約し、Web3による社会課題解決やDX推進、顧客企業のWeb3リテラシー向上支援などを手掛け、ビジネスプラットフォーム構築やPoC(概念実証)実施を支援していく計画だ。同時に、分散アプリケーション開発などの技術を持つ企業とのパートナーシップ強化も進め、エコシステムを構築するとしている。
さらに同日、日本IBMは医薬品メーカーら複数の関係者と業界内での在庫情報連携とトレーサビリティ確保の実証実験を発表している。
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