Pages

Saturday, July 2, 2022

微生物で害虫駆除 環境配慮、応用に期待 静岡大田上准教授グループ|あなたの静岡新聞 - あなたの静岡新聞

 静岡大農学部(静岡市駿河区)の田上陽介准教授(応用昆虫学)の研究グループはこのほど、農業害虫「マメハモグリバエ」の体内微生物の性質を利用した新たな防除法を開発した。環境に負荷をかけにくい駆除の手法として、今後の応用に期待がかかる。

マメハモグリバエの体内微生物を利用した防除法を開発した田上陽介准教授=6月下旬、静岡市駿河区の静岡大静岡キャンパス
マメハモグリバエの体内微生物を利用した防除法を開発した田上陽介准教授=6月下旬、静岡市駿河区の静岡大静岡キャンパス
マメハモグリバエ
マメハモグリバエ
マメハモグリバエの体内微生物を利用した防除法を開発した田上陽介准教授=6月下旬、静岡市駿河区の静岡大静岡キャンパス
マメハモグリバエ

 マメハモグリバエは北米原産で体長約2ミリ。トマトや温室メロンなどの葉に産み付けられた幼虫が葉を食害し、作物の生育を妨げるとして世界的に知られる。対応する農薬は開発されているが、田上准教授は安全性や生態系への影響を懸念し、別手法の駆除を模索していた。
 着目した微生物は、マメハモグリバエなど多くの昆虫の体内に存在する「ボルバキア」。ボルバキアに感染したオスと非感染メスの交配で生まれた卵の多くが孵化[ふか]しにくくなる現象「細胞質不和合」を引き起こすなど、宿主にさまざまな影響を及ぼす。
 田上准教授はこの現象を利用。ハエの体内のボルバキア密度を高める物質を含む薬剤を、同ハエが寄生する植物に散布すると、感染したオスと非感染メスから生まれた卵が孵化しない確率が、80%から100%近くまで上昇した。
 薬剤に毒性はなく、微生物の密度を高める以外に作用しないため、他の害虫防除への活用も期待できるという。田上准教授は「微生物がいなければ生存できない害虫に対して、微生物の密度を低下させる薬剤をまけば、防除できる可能性がある」と実験の応用に意欲を見せる。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 微生物で害虫駆除 環境配慮、応用に期待 静岡大田上准教授グループ|あなたの静岡新聞 - あなたの静岡新聞 )
https://ift.tt/H2mi5bO

No comments:

Post a Comment