千葉大大学院理学研究院の萩原学教授と学生有志で作るチームは、数学・情報数理学を応用し、ビールの原料であるホップの品種ごとの香りや特徴を視覚化する手法を開発した。25日には、千葉県習志野市内の醸造所「ならしのクラフトビール むぎのいえ」で、学生がこの手法を基に作ったレシピでビールの仕込みを開始。2月に完成予定で、同醸造所で販売するほかクラフトビールの全国品評会にも出品する。【真下信幸】
萩原教授が2021年、千葉市制100周年を記念したクラフトビールを醸造する企画を考案。同年7月に販売された記念ビールは、企画に参加した学生の意見を基に醸造の専門家が造ったが、今回はレシピから学生が手がけることに挑戦した。
取り組みのなかで萩原教授は、ビールの苦みと香りを決めるホップに着目した。ホップの特性を調べたデータを基に、数理学で用いられる解析方法で図表を作成。「フルーティー」「スパイシー」などの大きな特徴だけでなく、「ナシ」「白コショウ」「ミント」など更に具体的に近い香りも落とし込み、各品種が持つ風味の要素を一覧化した。萩原教授は「ビール造りに精通していない人でも、造りたいビールに合わせて簡単にホップを選べるようになる。今後、オリジナルクラフトビールを受託生産する現場で活用できるのではないか」と話した。
学生たちは醸造に向けた話し合いで、ビールの方向性を「飲みやすい」「苦みが少ない」などと決定。図表を基にマンゴーやスイカのような香りがする「エルドラド」というホップをレシピの中心に据えることにした。25日には専門家のアドバイスを受けながら、原料となる麦汁をつくった。ホップも投入し、仕込みを終えた。千葉大理学部4年の中出翔一さん(22)は「数理学が身近なことに応用できることを実感した。どんなビールができるか楽しみ。苦手な学生にも飲みやすいビールになることを期待している」と話した。
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