試験管に入れた透明なDNAゲル。室温ではゲル状態だが、温度を上昇させるとDNAの二重らせん構造が解離してゾル状態(液体)となる(北大提供)
北海道大学のリ・シャン准教授と東京大学の大平征史大学院生らは、医用材料にも使われるハイドロゲルの流動性をデオキシリボ核酸(DNA)により予測・制御することに成功した。DNA二重らせん構造で架橋したハイドロゲルを作り、DNAの塩基配列を設計して二重らせん構造の安定性を調整することで、流動性を制御する。生体に近い流動性を持つ細胞培養培地や注射可能なゲル材料のほか、センサーやソフトロボティクスなどへの応用も期待される。
ゲルの流動性は架橋の安定性により制御できる。だが、架橋の安定性の制御は難しく、生理的条件下では成功例がなかった。
研究グループは、生体適合性のある高分子のテトラポリエチレングリコールをDNA二重らせん構造で架橋したハイドロゲルを合成。このゲルのナノ構造(ナノは10億分の1)を調べると、DNAが一定の距離を保ってゲル内に存在し、網目構造が形成されていた。
このDNAゲルの流動性と二重らせん構造の安定性をさまざまな温度条件下で測定すると、ゲルの流れやすさを示す指標となる流動時間が二重らせん構造の解離時間と0・1―2000秒の幅広い時間領域で一致した。
二重らせん構造の安定性はDNA塩基配列設計により自在に調節できるため、生理的条件下でも任意の流動性のハイドロゲルを作れるようになる。
東京工業大学、総合科学研究機構、日本原子力研究開発機構との共同研究。
日刊工業新聞2022年2月21日
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