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Sunday, June 6, 2021

国産ゲノム編集ツールでヒト細胞のゲノム編集に成功 海外特許に依存しない創薬・医療応用に期待 - ITmedia

 徳島大学大学院などの研究グループは6月4日、国産ゲノム編集ツール「TiDシステム」を使ってヒト細胞でのゲノム編集に成功した。今回の成果により、海外特許に触れることなく、創薬や医療分野へのゲノム編集技術の応用が期待できるとしている。

 DNA配列の任意の場所に置換や挿入、削除などを行えるゲノム編集ツールとして現在注目されている「CRISPR-Cas9」システムは、ウイルスなどから細菌や古細菌が身を守るための免疫システムをゲノム編集に応用したもの。研究グループは、自然界にある多様なCRISPR-Casシステムから、機能未知であった「CRISPR-CastypeI-D」を調べ、新たなゲノム編集ツールTiDシステムとして開発。これまで植物でのゲノム編集を成功させていた。

 今回の研究では、TiDの構成タンパク質の中でも、Cas10dタンパク質がDNAを切断するヌクレアーゼとして機能することを証明。さらにTiDシステムを用いたヒト細胞でのゲノム編集にも成功した。

TiDシステムの概要図 TiDの構成タンパク質の中でも、Cas10dタンパク質がDNAを切断するヌクレアーゼとして機能することを証明した

 CRISPR-Cas9システムに対するTiDシステムのメリットとして、研究グループは「国産であること」を挙げる。従来のCRISPR-Cas9システムなどのゲノム編集ツールはほとんどが欧米で開発されていたため、日本国内の産業で活用する場合には知的財産の問題が発生してしまっていたという。

 今回の研究では、TiDシステムが動物細胞でのゲノム編集に応用可能なツールであることや、CRISPR-Cas9システムよりも長い配列を認識することなどが分かった。このため研究グループは、医療や創薬などさまざまな分野に、この国産ゲノム編集ツールの応用が期待できるとしている。

 この研究は、同大学院の刑部敬史教授、和田直樹特任助教らのグループの他、東京工業大学の刑部祐里子教授(生命理工学院)、近畿大学の宮下尚之准教授(生物理工学部)が共同で行った。

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