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Wednesday, June 2, 2021

【愛知県】「豊田市モデル」でワクチン接種加速 トヨタが「生産方式」応用 - 週刊福祉新聞

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トヨタ自動車の「カイゼン」部隊が作った案内板が設置されたワクチン接種会場=30日、愛知県豊田市で(大橋脩人撮影)

 トヨタ自動車などの民間企業が、会場設営や物品輸送に協力する新たな枠組みでの新型コロナウイルスワクチンの集団接種が30日、愛知県豊田市で始まった。自治体や医療従事者の負担を大幅に軽減できる独自の「豊田市モデル」として発信し、接種を促進する狙い。国内のワクチン接種に民間企業が関わる例では、会場提供や産業医派遣など部分的な協力はあるが、仕組みづくりから現場の運営に人員を投入して手がけるのは全国的にも珍しい。
 豊田市は高齢者10万人を含む25万人を接種対象とし、4割を集団接種でまかなう計画だが、会場確保が難しい地区を中心に、トヨタに協力を要請した。
 トヨタは、市南部にある工場の厚生施設など、4つの会場を提供。さらに、「トヨタ生産方式(TPS)」として知られる人や物がスムーズに流れる工場運営やものづくり力を生かし、来場者の滞留が起きにくい会場レイアウトや案内板づくりも担った。産業医や看護師だけでなく、会場の運営要員や通訳も含め、12月までに延べ5千人を無償で派遣する。1日に最大3千人が接種できる。
 また、マイナス60度以下での保管が必要な米ファイザー社製ワクチン輸送は、ヤマト運輸が担う。ワクチンの小分けや接種会場への発送など、医療従事者の負担をなくし、接種人員の確保につなげる。両社の協力で、自治体は市民の情報管理や予約業務に、医療従事者は接種業務に集中できる。高齢者への接種完了後には、64歳以下への対象拡大に向け、接種のスピードアップが期待される。
 同県日進、みよしの両市もこのモデルを利用するほか、周辺自治体からも問い合わせがあり導入が広がる可能性もある。トヨタは無償で協力する方針。
 モデルの構築に関わった豊田地域医療センターの大杉泰弘副院長(総合診療)は「行政も医療現場も、数十万人が対象となるような大規模事業の運営は苦手。トヨタの実行に移すまでのスピード感など見習うべきことは多く、民間の提案で改善できることがたくさんある」と語った。

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