香港政府系の産業支援機関、香港生産力促進局(HKPC)は28日、九龍地区に第5世代(5G)移動通信システムの応用分野の製品や技術を展示する展示館を開設した。香港域内の5G応用技術や情報を網羅した発信拠点ができるのは初めて。政府が取り組む国際イノベーション拠点やスマートシティー整備の加速につなげたい考えだ。
「5G新世代応用展館(5Gフューチャーホール)」と名付けた展示施設を、九龍塘にある同局の本部ビル内に開設した。官民40以上の機関・企業が協力する「オール香港」で臨む。施設の運用は1年間で、2~3カ月ごとに展示内容を入れ替える。
初回は13社が出展し、自動運転車や遠隔医療、消毒ロボット、クラウドゲームなどが展示されている。この施設では、5G技術を実際に体験できるのも特徴だ。
同局の林宣武(ウィリー・リン)主席は28日行われた開設式典のあいさつで、展示施設について「より多くの研究開発の展示を展開し、5G応用のスーパー連絡基地になれれば」と言明。「さまざまな業務の5Gの潜在的な商業ユーザーに5G応用を自ら体験してもらい、親和性のある業務の優位性への新たなソリューション開発につなげていってほしい」と語った。
中国政府が第14次5カ年計画(2021~25年)で、香港での国際科学技術・イノベーションセンター整備を支持したことに触れつつ、5G技術の発展に伴い、香港の地場企業も中国広東省と香港、マカオの3地域で一大経済圏をつくる構想「粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)」と、深セン・香港両地による科学技術研究協力のイノベーションの好機をつかんでいけるとの認識を示した。香港のスマートシティー化も加速できるとも指摘した。
式典には、林氏のほか、イノベーションと科学技術を所管する政府創新・科技局の傘下にある創新科技署の潘テイテイ(レベッカ・プーン、テイ=おんなへんに亭)署長、通信事務局の梁仲賢(チョーサー・リョン)総監、資訊科技総監弁公室の林偉喬(ビクター・ラム)総監ら政府関係部門の代表らも出席した。
同局本部ビルには、中国通信大手、中国移動(チャイナモバイル)傘下の中国移動香港、香港通信大手の数碼通電訊集団(スマートーン・テレコミュニケーションズ・ホールディングス)、和記電訊香港(ハチソン・テレコミュニケーションズ香港、HTHK)傘下の3香港、電訊盈科(PCCW)傘下の香港電訊(HKT)の4社の基地局が既に設置されている。
同日は香港の5G網整備に関わるこれら4社代表による座談会も開催された。
■過去7年で4億ドルを助成
生産力促進局を含む香港政府による5G事業の推進は、16年に当時の梁振英行政長官が施政報告(施政方針演説)で打ち出した地場製造業の近代化により再興を図る「再工業化」戦略の一環。中国政府が進める産業政策「中国製造2025」にも沿ったものだ。中国政府は25年までに世界の「製造強国」入りを目指している。
創新科技署の潘氏によると、同署の「イノベーション・科学技術基金」を通じ、過去7年に地元大学や研究機関が取り組む5G関連の研究開発事業56件に計4億HKドル(約56億円)が拠出されたという。
20年は香港にとって「5G元年」だった。通信大手4社は同年4月から5Gサービスを開始したが、市民レベルでは普及が進んでいるとはいえない。
こうした中、昨年来の新型コロナウイルスの感染拡大は5Gの普及を後押しする側面があった。
コロナ下で創設された香港政府の防疫基金を原資に、5G技術を早期導入する企業に関連費用の半額を50万HKドルを上限に支援金として拠出するもので、今年3月1日時点で63事業が承認され、総額約2,800万HKドルに上った。
香港政府は5G応用の推進を今年の重要な取り組みの一つに据える。潘氏は「政府は世界レベルのスマートシティーの構築に力を入れている。中でも5Gは不可欠で、その応用もまた非常に重要だ」と強調した。
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