電動航空機に超電導技術を応用する産学官連携プロジェクトが始動。今年度からの5カ年で企業・大学など11者が連携し超電導線材を用いたモーターやケーブル、発電機について研究。軽量・高性能な試作品を開発し評価・検証する。超電導技術の導入でモーター重量は10分の1以下、燃費は3分の1以下になる。ケーブルの線材は昭和電線ケーブルシステム（川崎市川崎区）が、モーター線材はスーパー・オックス・ジャパン（相模原市中央区）が担う。
超電導線材は次世代技術として電線メーカーなどが研究開発に注力している。航空機への応用プロジェクトは新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）の委託案件で九州大学や産業技術総合研究所が全体を統括。2030年代の実用化を想定し、効率と出力が高い航空機用電動推進システムを製作するもので、昨年度にFSが終了。今年度から本格的に始動している。
航空機ではCO2削減に向けモーターで飛行する電動化に向けた研究開発が進んでいる。一般的なモーターには動力となる磁力を発生させるコイル部品に銅巻線が使われ、磁力を効率活用するため鉄芯が多く用いられるため重さが課題。開発を目指す超電導モーターは細径でも大電流が流せるイットリウム系の超電導線材をコイルに使用することで、強い磁力を作り出せ高出力を発揮する。そのため磁力を効率活用する鉄芯を樹脂に置き換えられ、大幅に軽くなる。モーターに給電する電力ケーブルにも細径・軽量で大電流が流せる超電導線材を使用。
モーターや発電機の開発は富士電機などが担当。そこにスーパー・オックス・ジャパンの超電導線材を用いる。モーター筐体には軽量化に貢献する神戸製鋼所のチタン材料を使用。モーターに給電する電力ケーブルは線材・ケーブルとも昭和電線ケーブルシステムなどが製作する。さらに冷却システムには太陽日酸の技術を活用。併せて九州大学に加え名古屋大学・鹿児島大学・成蹊大学・福岡工業大学の知見を生かす。
すでに小型モーターを試作しており、5年内をめどに小型航空機に使用できる出力1メガワットのモーターを用いた推進システム製作。併せて中型航空機などで使用する出力20メガワットのモーターに関する要素技術の開発も進める。
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February 28, 2020 at 04:08AM
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