
名古屋大と岐阜大を運営する「東海国立大学機構」(本部・名古屋市)は6日、自然科学研究機構、創価大と共同で、糖鎖研究のプロジェクトを紹介するシンポジウム(読売新聞中部支社など後援)を開いた。糖鎖に関する研究は日本が世界をリードしている。認知症やがんなどの病気との関わりも明らかになってきており、治療や診断につながると期待されている。
糖鎖は、DNA、たんぱく質と並んで生命の中核を構成する重要な物質だ。しかし、DNAとたんぱく質に比べ、構造が多様で複雑な上、分析する手法も確立していないため、世界的に研究が進んでいない。このため3大学と同研究機構は先月、連携して糖鎖を研究するプロジェクトを始める覚書を締結した。
名大と岐阜大は今年1月、共同で中核の研究拠点となる「糖鎖生命コア研究所」を設置した。同研究機構の生命創成探究センター、創価大の糖鎖生命システム融合研究所と連携し、横断的な研究を目指す考えだ。
6日のシンポジウムはこうした取り組みをアピールするのが狙いで、名大豊田講堂(名古屋市千種区)とオンライン上とで同時に開かれ、計約650人が参加した。今回は糖鎖の研究者ら専門家が対象で、今後、一般向けのセミナーも開く予定という。
この日は、2002年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一・島津製作所エグゼクティブ・リサーチフェローと、細胞内で不良なたんぱく質を処理する仕組みの研究でノーベル生理学・医学賞の候補に名前が挙がる森和俊・京都大教授が特別講演。血液などに含まれるごく微量の糖鎖を検出して病気の診断に応用できる可能性や、たんぱく質の処理と糖鎖との関係を解析した最新研究などについて紹介した。
続いてプロジェクトを率いる5人が登壇し、糖鎖に関する「ビッグデータ」のデータベースを構築して病気と関わりのある糖鎖を探す研究や、全国の研究者とのネットワークを作るといった計画の概要を説明した。糖鎖生命コア研究所長を務める門松健治・名大教授は「糖鎖については研究がまだまだ乏しく、専門家でも壁を感じることが多い。オールジャパンで取り組んでいくことが重要だ」と語った。
グルコースやガラクトースなど、約20種類の糖類が、多様な形で鎖状につながった物質。全ての細胞表面を森のように覆い、細胞と外界(他の細胞や病原体など)とのコミュニケーションを制御しているとされる。免疫や神経の機能、老化、感染症、がん、認知症など多くの生命現象や疾患に関わっているとみられている。
からの記事と詳細 ( がん診断など応用期待/田中耕一さんら講演 - 読売新聞 )
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