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Thursday, February 4, 2021

ウェアラブルデバイスへの応用も レーザーで網膜に映像投影、マザーズ上場のQDレーザ - ITmedia

 半導体レーザーを取り扱うベンチャー企業、QDレーザが2月5日、東証マザーズに上場した。富士通研究所からスピンオフし、2006年に設立された企業だ。半導体レーザーの分野では高い技術を持つが、直近2020年3月期の決算は売上高7億5600万円に対し、12億2500万円の最終赤字となっている。

 今回のIPOでは30億円弱を調達する。その使い道は、新たに本格参入する「網膜にレーザーで映像を投影」するデバイスの事業拡大だ。メガネなどに付いたカメラで撮った映像を、網膜をスクリーンにして直接投影するというもの。メガネで補正できない視力を持つ人でも、0.8相当の視力を実現できるという。

網膜に映像を直接投影するデバイス「RETISSAシリーズ」。民生品ではカメラはメガネに付いておらず、外部からHDMI端子で入力する。ECサイトで購入できるほか、全国のメガネ店や家電量販店で体験コーナーも用意している

 角膜や水晶体に頼らないため、不正乱視の人でも物を見ることができる。眼は通常中央部分しかピントが合わないが、網膜の周辺部分に映像を投影することで、周辺でもピントが合った映像を見ることができる。

 民生用のデバイスは、現在は510台ほどを量産し価格は24万8000円(税抜)。今回、上場資金を用いて量産規模を拡大する。「将来的には量産で原価を5万円程度に抑え、販売価格10万円以下を目指す。最終的には補聴器の平均単価と同じ6万円にしてきたい」と、同社の菅原充社長は話す。

 工場を持たないファブレス体制を取っており、医療向けはミネビアミツミが、民生向けはオーディオテクニカが製造する。同社は、医療だけでも日米欧だけで9000億円を超える潜在市場規模があると見ており、量産を急ぐ。

QDレーザの菅原充社長(QDレーザ提供)

ウェアラブルデバイスへの展開も

 網膜に直接光を投影する技術は、もともと1991年にワシントン大学で発明されたものだ。当時はレーザー自体が巨大で、簡単に持ち運べるものではなく忘れ去られたが、同社がこれを再発見した。

 小型を実現したキーは、半導体レーザーだ。レーザーは、光を増幅する物質である媒質の違いによってさまざまな種類があるが、半導体レーザーでは媒質に半導体を使う。非常に小型で、材料を変えることでさまざまな色が出せることから、小型の電子機器によく使われる。プレゼンテーションに使うレーザーポインターなども半導体レーザーだ。

QDレーザはファブレス企業であり、レーザーデバイス自体の製造は外部に委託しているが、コアとなる半導体については自社で製造している(QDレーザ)

 LEDも半導体に電流を流すことで光を発するが、「LEDとの違いは、出てくる光をレーザの場合はとても小さくできること。単色、ピュアな光が出てくることだ」(菅原氏)。この特性から、網膜への投影が可能になる。

 もともと半導体レーザーの応用例としてディスプレイがあり、独特なビジネスにできないかと12年に作ってみたのが始まりだ。13年に「盲学校の先生から電話が来て、使わせて欲しいと。視覚補助機、医療機器として事業にならないか、検討を始めた」(菅原氏)。

 現在の投影性能はハイビジョン品質(720p/60fps)。レーザーの光路を変えるためのMEMSミラーの開発状況次第で、さらに解像度も上げられるという。

 網膜投影にかかわる15件の特許を持ち、うち必須特許は6件。さらに、日米欧で視力補正機器として医療機器製造販売の承認を取得しており、いち早く規制対応したことも強みだ。「レーザーの強度としては、蛍光灯や太陽光よりも弱い光を使っており、1日3万秒(8.3時間)使えるという試験結果となっている」(菅原氏)

 今後はさらに健常者向けの機器の開発構想もある。いわゆるウェアラブルデバイスのディスプレイとしての用途だ。地図アプリと連動して、道案内を外部の景色に重ねて投影するAR的な用途や、外国語の会話を自動翻訳して網膜に表示する用途などを検討しているという。「大手メガネメーカーのZoffとは共同研究が始まっている。いずれはメガネに付けていきたい」(菅原氏)

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